伊勢街道の続きを歩く。
9:30 近鉄江戸橋駅を出る。伊勢別街道の追分から伊勢街道に戻る。
朝の静かな上浜町の街道を抜け、栄町から県庁街を通り四天王寺を見ると国道23号で
安濃川を渡る。しばらく先で左折し大門商店街に向う。
商店街のアーケードをみて左に折れるとすぐの角に「右 さんぐう道」「左 こうのあみだ」と
刻まれた道標が建つ。道は右に折れてアーケードの商店街を行くが、すぐ傍の日本三代
観音の一つといわれる「如意輪観音堂(津の観音さん)」に参拝する。
すぐ西隣の「大宝院」に芭蕉句碑があるというので立ち寄る。
なんと格子戸のある民家と思しき院で、無断で入ると不法侵入になりそうだ。
すぐの玄関口に句碑が見えたので外からそっと句碑を撮る(挨拶もせずにごめんなさい)。
句は「蓬莱にきかばや伊勢の初たより」。手元の説明には元禄8年の句とあるが句集では元禄7年(1694年)の
句である。
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四天王寺 道標 津観音 大宝院 と芭蕉句碑 |
街道は大門アーケードを通り抜け、フェニックス通りを横断し岩田川を国道23号で渡る。
しばらく国道を行き岩田の交差点で街道に戻る。
途中で古道を分けると先の閻魔堂で道を斜め右にとり八幡町に入る。藤枝、藤方と行くと、
国道23号の手前に香良洲道との追分がある。細い川に思案橋が架かる。
国道を横断し垂水へ入る。JR紀勢本線を越えると右から来る古道と合流する。
多くの寺社や常夜灯、道標をみながら小森上野町から高茶屋小森町(最新の地図では
高茶屋小森上野町となっている)の静かな街道歩きを楽しむ。
高茶屋駅の傍で国道165号の下をくぐり、紀勢本線の踏切を越えると雲出島貫町へ入る。
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八幡町を行く街道 左香良洲道と小さな思案橋 高茶屋の道標と常夜灯 |
町並みが途切れ辺りは田園風景に変わる。何もない道をひたすら行くと広い新しい道に出る。
新道は右から左に大きくカーブして橋に向っているが、旧道は新道を横断しわずかな集落の先で雲出川に突き当
たる。堤防を行くと立派な小公園があり常夜灯と、街道の案内板が建つ。手元の地図では軽自動車しか通れない
とあるが、雲出橋は片側1車線、車が通れるほどの歩道がある凄い橋だ。渡ると道は直進するがこれは新道。
少し下流に戻り街道らしき道に見当を付けて堤防を降りる。どうやら古い橋は取り壊されて新しい橋が架けられた
ようである。すぐに北海道の名付け親である松浦武四郎生家をみて先を行くと、新道からの道と合流する。
100mほど右に入ると「松浦武四郎記念館」があるが寄らずに過ぎる。
人家の垣根に建つ「からすみち」の道標を見ると、しばらくで奈良街道の追分である。
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雲出橋北詰の常夜灯 伊勢街道案内図 雲出橋 南詰常夜灯 松浦武四郎生家 |
追分には伊勢街道で最大といわれる道標が建つ。横に燈籠の道標と、道の左手には常夜灯が建っている。
道標の東面には「月本おいわけ」、北面に「左 いがごえなら道」、西面には「右 さんぐうみち」と刻まれている。
この先、香良洲道を左に分けてさらに進むと、中道公会所の前にも道標と常夜灯が建つ。
上部に穴が空く道標には「右さんぐう道」と刻まれている。松坂に近づくにつれて道はがぜん街道の趣が出てくる。
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奈良街道追分 道標と燈籠の道標 常夜灯 中道の常夜灯と道標 |
道はさらに南下し、六軒で三渡川を渡ると橋の袂が初瀬街道の追分である。
西の袂に道標、東の袂に常夜灯が建つ。 道標の東面には「やまとめぐりかうや道」、北面は「大和七在所順道」、
西面に「右 いせみち」、そして南面に「いがごえ追分」とあり、下に「六けん茶や」と刻まれている。
たしか伊勢音頭で ”六軒茶屋まで送りましょう” というのがあったのを思い出す。
調べました。正式には「道中伊勢音頭別れの歌」でした。参考までにお囃子抜きの歌詞だけを引用します。
明日はおたちか お名残り惜しゆや 六軒茶屋まで送りませう
六軒茶屋のまがりとで 紅葉のやうな手をついて 糸より細い聲を出し
皆様さよなら御機嫌よろしう御静かに また来春も来ておくれ
来春来るやら来ないやら 姉さん居るやら居ないやら
これが別れの盃と 思へば涙が先にたつ 雨の十日も降ればよい
ここから「市場庄」の宿に入る。街道には宿場の面影を残す(保存されている)町並みがおよそ1キロにわたって
続居ている。ここは江戸時代に栄えたショッピングセンターだと
軒先の説明文にある。
各戸に屋号札があり、連子格子の家が並び、これだけ参宮道の
町並みが保存されているのも見事だ。
ここを歩くだけで、もう充分に街道を堪能することができた。
いつもなら、さっと見て先を急ぐか、行き過ぎるが、今日はじっくりと
町かど拝見をさせてもらう。
途中に「忘井之道」と刻まれた道標がある。
左に道を100mほど行くと「忘れ井」があるという(確認していない)。斉王の女官、斎宮甲斐がこの辺りで詠んだ
和歌「別れゆく 都のかたの恋しきに いざ結び見む忘れ井の水(千載集)」が残ると説明にある。
ゆっくり町を見学しながら通り抜けて、近鉄のガードをくぐったすぐに真新しい「市場庄」の案内板があった。
各戸のすべての屋号が記されている。
この先、久米を通る街道を道標や多くの常夜灯を見ながら松阪市街へと向う。
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初瀬街道追分の道標 常夜灯 市場庄の屋号がかかる格子戸の家
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塚本、船江、川井町と行き、西町で大橋を渡るとかって知った松坂市街本町。すぐの小津家(松坂商人の館)、
三井家発祥地などみて中町に入る。
何度も歩いた松阪の中心部。「よいほモール」を歩きながらさてどうするか考える。時計は15:00を廻った。
今回は楽しむところが多く、少し時間がかかり過ぎた。まだ先にいけるが残り20キロほどだ。
すぐ先の和歌山街道追分の道標、「右 わかやま道」「左 さんぐう道」を見て、今回はここで終わる
ことにする。
直進する参宮道を左にとり松阪駅に向う。 次回はここから伊勢神宮へ歩く。
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